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自分が自分じゃなくなりそうな恐怖に三

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自分が自分じゃなくなりそうな恐怖に三

自分が自分じゃなくなりそうな恐怖に三津は精一杯入江の胸を押した。

 

 

「ほんっとに何考えてるんですかっ!」

 

 

大声で怒鳴りたいところだけどそれを聞いて誰かが駆けつけても困る。押し殺した小声で抗議した。

 

 

「ちょっと欲しくなっちゃって。」

 

 

そう言う入江の顔は上気して,とろんとした目に三津を映す。https://www.easycorp.com.hk/en/virtual-office

その表情が色っぽく見えて三津の顔は余計に赤く染まる。

 

 

「どうぞ自室でおやすみください。邪魔はしませんから。」

 

 

入江は何事もなかったように手を振った。三津は何か反論したげな顔で入江を睨むと部屋を飛び出した。

 

 

『稔麿も甘いね。どうせ盗み聞きするなら最後まで居たらいいのに。

何で偶然を装って三津さんが出た瞬間を捕まえないんだろうな?』

 

 

その詰めの甘さのお陰で着々と三津をつまみ食い出来てるけどと声を押し殺して笑った。

 

 

……振り向いてくれないかなぁ三津さん。」

 

 

名残惜しげに遠ざかって行く足音を聞いていた。

 

 

『油断も隙もないっ!』

 

 

いや,自分が隙だらけだ。仮自室で畳に突っ伏して己を責めた。

掠め取られるどころかガッツリ絡め取られた。

 

 

『めっちゃ手慣れてたやん……遊び人め……。』

 

 

悔しいがちょっと満たされてしまった。そう感じてしまった自分を恥じて絶叫したい気分。

そんな都合よく叫べる場所もなく。この暴れる心臓をどうしてくれよう。

いっそ取り外して投げ捨てたい。

 

 

『穴があったら入りたい……。』

 

 

穴はないが……

 

 

『あっ。』

 

 

押入れがある。

暗いしちょうどいい。ここにしよう。

三津はのそのそと四つん這いで押入れの中に入って行った。

悶々としながらもそのまま暗闇で寝落ちるのに然程時間はかからなかった。

 

 

一方盗み聞きをしていた吉田は入江がえらくまともな事を言って三津を諭し,自分を持ち上げてくれたから油断してしまった。

 

 

そして三津が甘えに来てくれるかもしれないと思い,そわそわしながら待った。

でも待てど暮らせど三津は来ない。

 

 

『まぁ……休んで時間があればと言ってたしな。』

 

 

たっぷり昼寝して夕餉の支度でも手伝ってるのかもしれない。

三津に会いたくて吉田は台所へ向かった。

 

 

邪魔をしないようにそっと中を覗くがそこにお目当ての姿はない。

まだ休んでるのか?そう思い今度は仮自室へ向かった。「三津,開けるよ?」

 

 

声をかけるが返事はない。そっと戸を開いて中を覗くがそこはもぬけの殻。

 

 

「どこ行った?」

 

 

傷が疼いて久坂の所だろうか。今度はそっちへ向かってみるも,

 

 

「え?来てないけど。いないの?」

 

 

それには久坂も不安の色を見せた。

 

 

「台所にも部屋にもいない。晋作は一人で出掛けたから連れ出してないはず。」

 

 

『まさかまだ九一の所?』

 

 

吉田は入江の部屋の戸を許可なく開け放った。

 

 

「いきなり何。」

 

 

足音で来たのは分かったけどと苦笑して文机から体を離した。

 

 

「三津は?」

 

 

「ん?来てたけど自室で休むってだいぶ前に出てったけど?」

 

 

ここに来るという事は全て探し尽くしたんだろうなと入江は顎をさすりながら三津の居所を考えた。

 

 

「部屋には居なかったんだな?」

 

 

その問いに吉田は大きく頷いた。戻った形跡すらないよと言う。

入江は立ち上がると仮自室へ向かった。

 

 

「だから居なかったってば。」

 

 

俺を信用してないのかと後ろから吉田が不満を漏らすも,いいからいいからと笑って部屋の戸を開けた。

 

 

がらんとした室内にほら見ろと吉田は腕組みをした。

入江は中に踏み込むと押入れの前で屈んだ。

 

 

「ここ見た?」

 

 

吉田に顔を向けてにやにや笑いながら襖を指差した。

 

 

「いや?だって押入れなんかに……。」

 

 

入江がそっと開けると中で身を縮めて眠る三津の姿を見つけた。

 

 

「何で?」

 

 

吉田と久坂はぽかんと中の三津を見つめた。

 

 

「前に晋作に追い回された時もここに隠れてた。

この部屋で寝るのにも身の危険を感じてるのかもな。

で,どうする?起こす?」

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