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鉄之助」
土方は恥ずかしそうに答えた。
「あの立花美海か?」
男は目を丸くした。
噂は聞いている。
髪が金髪で恐ろしく冷酷でごっつい奴だと。
「美海は医者でもあり総司と同じぐらい強い。市村も腕は立つ」
「へぇ…」
相変わらずお笑いをしにきたのかと疑いたくなる彼らに遠目から頷いた。
「私は教えてあげたじゃないですか!ここは試衛館じゃなくって宿と出試合用の佐藤道場だって!」
沖田は美海と市村に言う。Business Center for Correspondence Address | easyCorp
「「佐藤道場?」」
未だに理解できていない二人にため息を着くと遠くで土方と近藤と話す男を見た。
「彼は佐藤彦五郎さん。土方さんのお姉さんの亭主。そして日野宿組合名手。日野での指導者です。
更には新撰組の大事な後援者でもあるんですよ!
前近藤さんの話に出てきたでしょ?ちなみに近藤さんとは義兄弟です」
一気に話され美海は理解できたが市村がフリーズしている。
「土方さんの伯父さん」
沖田は頷く。
「近藤さんの義兄弟」
更に沖田は頷く。
「つまりは近藤さんのお父さんではないと」
「そういうことです。近藤さんのお父上は近藤周助さんです」
美海も固まってしまった。
なんて恥ずかしいことを…!
「ま…まぁ、勘違いは誰でもある…」
必死に斉藤が慰めるが効果はない。
「い…市村?」
「あの人は近藤彦五郎?あれ?ちがう佐藤彦五郎?あれ?佐藤周助?あれ?あれ?つまりあれがあれでこれがあれで………」
何か訳のわからないことを呟いている。
沖田と斉藤は顔を合わせるとため息を着いた。
「総司。しんぱっつぁん、左ノ、斉藤くん。ちょっと来てくれ」
先程まで笑って話していた土方だが、神妙な顔つきになっている。
何か良くないことがあったのか近藤も表情を曇らせている。
「なんでしょう?」
市村が美海を見た。
「さぁ。でも試衛館メンバーだし、道場に何かあったとか?」
土方に呼ばれた彼らは佐藤になにやら話を聞いていたが次第に顔色が悪くなる。
目を見開き驚く者やポカンとしてしまう者もいた。
そして話が終わったのか、再び戻ってきた。
「どうしたんですか?」
聞いていいことなのかわからないが聞きたくなるのが人間の性だ。
美海は戻ってきた沖田に聞いた。相変わらず顔色はよくない。
「師範が…近藤さんのお父上、近藤周助さんは、既に亡くなっていたそうです」
「「え…?」」
美海も市村も思わず聞き返してしまった。
近藤を見ると土方に肩を支えられていた。
「奥さんのふでさんは消息不明だそうです」
「そんな…」
「養子の近藤さんとふでさんは元々折り合いは良くなかったんでそこはまだしも、いつも助けてくれていた周助さんがいなくなったんですから衝撃的でしょうね…」
そう言う沖田も悲しそうだ。
彼は幼い頃から周助にはかなり可愛がられていた。
ちなみに道場は近藤達が出ていってから潰れたようなものだったという。
近藤はそういう責任も感じているだろう。
「今からお墓参りに行きますが、行きますか?」
「行きます!」
美海は即答すると、市村も頷いた。
近藤は未だ自覚していないのかぼんやりとしている。
里帰り初っぱなからなんだか暗い雰囲気になってしまった。
とりあえず近藤率いる試衛館メンバーに美海と市村が加わり、佐藤に連れられお墓参りに行った。
お墓の前で全員が手を合わせ終わった。
前に誰か来たのか綺麗な花と線香から煙が撒いている。
一段落落ち着いくと佐藤が口を開いた。
「ぅわぁ…。何年ぶりだろう…」
例の『いつもの部屋』に行くと沖田がそう呟いた。
「そんな来ないんですか?」
「総司は一回行ったっきりだよな」
沖田はコクリと頷いた。
「ふーん…。いつもこの面子だけど土方さんやら近藤さんやら斉藤さんは行かないんですか?」
「あぁ。近藤さんにはおツネさんがいるし、一は興味ないだろ。土方さんはもっと高いとこ行くんだよ」
「へぇ…土方さんってあんま遊ばなそうなのに」
「「「土方さんが遊ばない!?」」」
「ぶっ!ないないないない!」
沖田は爆笑だ。
「土方くんは昔から大の遊び好きだよ。喧嘩上等、女上等みたいなね」
山南はいつの間にか明里を呼んで、飲んでいる。Business Center for Correspondence Address | easyCorp
「そうなんですかぁ」
あの土方さんが………ぷっ!
美海は1人でニヤリと笑う。
原田も永倉も芸姑を呼び、酌して貰っている。
沖田と美海は芸姑は呼ばず、二人で喋りながら飲んでいた。
美海さんは何をしに来ているんだ?
ふと美海は明里と目が合い、手を振る。明里はニカッと笑い、手を振った。
そ ろ ば ん あ り が と う !
口パクで明里は美海に言う。
い い え !
二人はニコニコしている。
沖田はその様子を隣で見ていて深刻な顔になっていた。
こ の ま え あ りがとう?
いい え?
なにが!?この前何があったんですか!?
沖田には「そろばんありがとう」が「このまえありがとう」に見えたらしい。
再び美海が口を開く。
ど う で し た ?
語尾は頭を傾けている。
どうでした?かな?
あの傾きかげん……かわいい!
沖田は末期のようだ。
明里をチラリと見ると頬を染めている。
えぇ!?なんですか!?そういう関係!?
沖田の中にはもういかがわしい考えしか渦巻いていない。
美海はニコリと笑うと一礼した。山南の胸元を見るとちゃっかり算盤がしまってある。
未だ沖田は考えているようで表情がコロコロ変わったと思うと唸り出す。
その様子に気づいたようで美海は声を掛けた。
「何一人百面相してるんですか?」
「ぅわぁあ!」
沖田はいきなり喋りかけられ驚いたようで情けない声を出した。
「なんなんですか。人を化け物みたいに」
美海は変な物を見る目で見ている。
「い…いや…なんもないです…」
美海さんは男として新撰組にいるから自分を男と思ってしまっているとか?
女だと思ってないんじゃないか?ここに来るぐらいだし…。
「ふーん?変なの」
もしも…もしも美海さんがこっちに来て、道を間違えてしまったなら…。
女性しか好きになれないなら…
もう私に勝ち目はありません!
勝手な妄想だ。
「おかしい…」
「どうしたんですか伊東先生?」
ここは伊東の部屋。
伊東と藤堂が話している。
「いや…。立花くんなんだが、握手した時に私の腕に例のじんましんが出たんだ」
伊東は腕を見る。
「あの、女に触れたらでるっていう?」
「あぁ。おかしい。今まで女に触れた以外でじんましんは出たことがないんだ」
「つまり美海が女って言いたいんですか?」
「あぁ」
「いや!ないないない!あんな馬鹿強い女いないですよ!」
藤堂は爆笑している。
「そんなに強いのか?腕はかなり細かったし手にはそこまで豆がなかった」
「あぁ。あいつ来たときから強かったんですよ。羨ましいかぎりだ。一番隊隊長の沖田や二番隊隊長、永倉、三番隊隊長の斉藤には負けますが、俺よりは強いかもしれない」
「ほぅ」
「あ!後で紹介させますね!」
「あぁ」
伊東は微笑んだ。
まだ、立花が男だとは決まったわけではないな。俺のじんましんが出たんだ。
立花が引き金になるかもしれないな。
ニヤリと伊東は笑った。
バタバタバタバタ!
「ひっじっかったっさー―――――――ん!」
スパーン!
カランッ
「ぅお!?ななななんだ!?」
いきなり沖田が入ってきたため土方は驚いたのか煙管を落とした。
部屋の中の煙が一気に外へ出る。
まるで信長の横暴を制するかのようである。
一同は、今のはどこからだ?と辺りを見回していたが、壇上に座す信長には、
それが書院の端に下がっている、の奥から漏れたものだと気が付いていた。
──お濃、余計な真似を
信長は心の中で叫んだが、気付かれては厄介だと思ったのか
「…まぁ、よい」
と溜め息混じりに呟いた。Business Center for Correspondence Address | easyCorp
「宗室、この話は後回しと致そう。此度は持て成す為にそちを招いたのであって、気まずうさせる為ではない故な」
宗室がほっとした表情で頭を下げると
「あれをご一同にお見せ致せ」
信長は脇に控えている小姓たちをした。
小姓らはづくと、隣室から、上に塗りの盆を二つ運んで来て、
それらを上座の壇の上、信長の手前左右にゆっくりと、かつ慎重に置いていった。
小姓たちが下がると、信長の背後に控えていた坊丸と力丸が直ぐさま歩み寄って、
盆の上にせてある掛け布を、スッと、真上に引っ張るようにして取った。
するとその下から、「」の茶入がその姿を現した。
いずれも信長が所持する名茶器である。
これには座の一同も「おぉー!」と歓声を上げた。
「あれを見やれ、あれぞまさに大名物や」
「あの輝き。釉薬の光沢が実に見事ではないか」
「かような珍品を間近でめるとは」
一同はその素晴らしさに、口々に感動の程を述べた。
濃姫も思わず上半身を乗り出して
『 尋常ならば先に残しておきたいと思う名品を、ああも初手からご披露あそばされるとは 』
この大胆さが人々の心をき付けるのかも知れないと、まるで興を覚えたように見つめていた。
実際に信長は、この名物披露を兼ねた茶会の為に、三十八点もの品々を安土城から持参しており、
その後も茶釜に茶碗、花入れや御軸、絵画など、名の知れた名品を惜しみもなく披露していった。
その度に一同は華やいだ声を上げて
「何と素晴らしい」
「さすがは織田様じゃ」
と世辞を交えた称賛ばかりするので、茶会での信長は常に上機嫌であった。
夕刻近くになると茶会はお開きとなり、一同はそのままの場へと移った。
宗室や公家衆らと酒をみ交わしながら、座敷の上段で愉しげな笑い声を上げる信長を、
中庭をてた反対側の廊下から、濃姫がひっそりと眺めていた。
「──本日は、父上様もご機嫌がよろしいようですな」
廊下の横から声がして振り向くと、信忠が座敷の方向へ視線を向けつつ、こちらへ歩み寄って来た。
「信忠殿──。おきにございましたか」
「ええ、今しがた。遅れてしまい、申し訳ございませぬ」
濃姫はってかぶりを振る。
「そなた様は織田家の御当主じゃ。多事多忙は致し方のないことです」
としての気遣いを見せると
「…そうそう。とも話していたのじゃが、松姫殿との一件はどうなりましたか?」
濃姫は思い出したように伺った。
「それについては、既にが立ちましてございます」
「では…」
「八王子におわします松姫殿のもとへ使者をわしました。明日、こちらへおでになられまする」
「まぁ!」と、濃姫は満面を笑顔の渦にする。
「ではようやく、長年の願いが叶うのですね」
「はい、お陰様にて」
信忠は笑んで頭を下げたが、ふいに眉根を寄せて
「…ただ、か不安もございます。に合うて、松姫殿が、わたしのような者を気に入って下さるかどうか」
と、苦笑しながら濃姫に告げた。
「いらぬ心配にございます」
濃姫は微笑みながら、信忠の前に歩み寄ると、彼の頬にそっと触れた。
「かように
信友の身体は暫く小刻みな痙攣(けいれん)を繰り返していたが、やがてピクリとも動かなくなった。
信光は家臣に命じて、その絶命を確認すると
「──お見事」
大和守家の幕切れを締め括るように、一段と重々しい声で呟いた。
ザザーーッ
信友が切腹して果てた僅か数時間後、晴天であった尾張の空に突如暗雲が立ち込め、どしゃ降りの大雨となった。
特に信長のおわす那古屋城周辺は雨が激しく、雨水でぬかるんだ地面の土が縁まではね上がって来る程の勢いである。
御殿の雨戸も全て閉じられ、外で作業していた下男や下女たちも忽(たちま)ち奥へ引っ込んだが、
城主たる信長は、自ら居室の縁側まで進み出て、降り止むことを知らぬ豪雨を何かに憑(つ)かれたように眺めていた。
まるで滝の内にいるように外は真っ白だったが、それでもお構い無しに目を向け続けていると
「──お寂しゅうございますな」
横から濃姫が、音もなく現れた。
「…お濃」
「庭の桜。ちょうど散りかけの今頃が風情があって美しゅうございましたのに、この雨では花弁が全て散ってしまいまする」
濃姫は庭に向けて一つ溜め息を吐くと
「清洲の件、先程千代山殿から伺いました。おめでとうございまする。これでまた一歩、尾張統一に近付きましたな」
やおら晴れやかな面持ちで頭を垂れた。
「“尾張は”な。天下にはまだまだ遠い」
「これから一つ一つ手中に治めてゆけばよろしいのです。気付いた頃には何もかも、殿が描いた夢の絵図通りになっている事でございましょう」
「嬉しい事を申してくれる」
「殿の夢は、私の夢でもございますから」
妻の暖かい言葉に、信長の顔にも自然と笑みが溢れる。
「じゃが、天はそうは思うておらぬようだ」
「天?」
「見よ、空が泣いておる。きっと守護代の死を哀み、また、叔父上に偽りの起請文を書かせた儂に憤慨して泣いておるのであろう」
「…そんな…」
濃姫が複雑そうな表情で夫を見やると
「安堵致せ、例え天を敵に回したとしても、儂は決して負けぬ。そなたと共に天下を、そして世界を見るまではな」
悪戯っぽい微笑みを浮かべながら、信長は決意的に述べた。
「雨が降りやめば、次には必ず日が射して参る。日が射せば天空に虹がかかる。儂は常にその虹を追い求めていたいのじゃ」
「されど虹は儚きもの。いつまでも空にかかってはおりませぬよ」
「だから良いのではないか。儂はな、決してこの手に掴めぬものを、掴もうと足掻き続けていたいのだ。この国の天下や世界などが、僅かな目標と思える程にな」
「まぁ。世界が僅かな目標になってしまっては、後に目指すものの方がちっぽけな目標になってしまいましょう」
「何、気の持ち用の話よ」
信長はニッと白い八重歯を見せると、何とも気持ちの良い笑声を立てた。
つられて濃姫も、ふふっと上品な笑い声を漏らしていると
「殿!お捜し申しましたぞ! ──おうおう、雨戸も閉めずに、縁がびしょ濡れではありませぬか」
家老の内藤勝介が小言混じりに駆け寄って来た。
「内藤か。如何致した?そんなに慌てて」
「殿。織田信光殿、お出ましにございまする」
「おお、叔父上が。思うたより早よう参られたのう」
「早速に中広間の方へお入りいただきましたが、何ともまあ、胸をこれでもかというほどお張りになられて、それは威風堂々と廊下を闊歩しておられましたぞ」
その様を再現するように勝介は大仰に胸を張ってみせる。
「ははは、さもあろう。何せ此度の功労者じゃからな」
「しかしながら、それは」
「安堵致されよ。そなたの忠心が確かなものならば、殿とて悪いようにはなさらぬ」
「……」
「私を信じよ」
濃姫はそう言ってにっこりと微笑むと https://www.easycorp.com.hk/en/virtual-office
「それから、御弓を殿に渡すにあたり、そなたに一つ確かめてもらいたい事があるのです」
小腰を屈め、そっと付け加えるように告げた。
「確かめるとは、如何なる事を…?」
「殿のご身辺に関する事です。無論、私が申し付けた旨は他言無用でな」
濃姫は軽く前置きすると、彼の耳元に口を近付け、事を囁いた。
その頃、末森の織田信勝もまた、亡き信秀から引き継いだ城の庭園を軽やかな足取りで散策していた。
信勝の背後にはお付きの侍女たちを従えた報春院(土田御前)。
更にその後ろには、乳母に手を引かれながら歩いて行く、齢五つの妹・お市の姿も見受けられた。
お市はあどけない笑みを浮かべながら周囲を一頻り見回すと、ひらひらと宙を舞う一匹の立羽蝶を見つけ、
「あっち、あっち」と乳母の手をぐいぐい引っ張りながら、蝶が向かう方へと進んで行く。
「これ、市や。あまり遠くへ行ってはなりませぬぞ──」
報春院は注意を促しつつ
「乳母一人では心許ない。そなたらも行って参れ」
自分に従う侍女たちにも、お市の後を追うように命じた。
侍女たちが一礼してその場から離れると、報春院は今の内にとばかりに、信勝の傍らへと歩み寄った。
「如何です信勝殿、例の件、考えて下さいましたか?」
「例のとは」
「無論、信長殿を当主の座から引きずり下ろし、そなた様が代わって弾正忠家の家督を継ぐという話にございます」
もう何度聞いたか知れぬその台詞に、信勝はふーっと細い息を吐いた。
「その件につきましては、これまでにも散々申し上げたはず。わたしは兄上に刀の先、槍の穂一つ向けるつもりはございませぬ」
「また左様なことを──。あのようなうつけ者に織田一門が纏められると本当にお思いですか?」
「それは分かりませぬが、いずれきっと…」
「いずれ?そのいずれがいつやって来るというのです!?
あの者が生まれて十八年。わらわとてずっと、“もうじきか”“もうそろそろか”と、信長殿の素行が改まるのを待っていたのです。
しかし家督を継いだ今に至っても、信長殿はうつけのままじゃ。重臣たちを侮り、母であるわらわをも軽んじておるっ」
「……」
「このままでは亡き大殿が守って参った弾正忠家も、あの者のせいでいずれ滅びてしまいましょう。
そうならぬ為にも、どうかこの件、今一度よう考えてみておくれ」
必死の面持ちで懇願して来る報春院を見て
「それはつまり、このわたしに兄上を討てと申しているのですか?」
信勝は真摯な態度で訊ねた。
それを受けて、報春院は悩ましげに表情を歪めたが、暫くしてからゆっくりと首を左右に振った。
「討てとまでは申しておりませぬ。……うつけであっても我が子は我が子。あの子が人の手にかかって死ぬ姿など…見とうありませぬ」
報春院の細面に、一瞬ではあるが、息子を案じる母の顔が浮かんだ。
「故に、説き伏せてほしいのです。信長殿に当主の器ではない事を分からせ、自らその座から退くように」
「しかし…」
「家老らの説得も功を奏さぬし、美濃の姫御前も役に立たぬ。
信勝殿、もうそなたしかおらぬのじゃ。──何卒お願い申す」
報春院の白頭巾の頭が深々と下がった。
「母上…」
「この通りじゃ。信勝殿、どうか」
兄から当主の座を奪う気持ちのない信勝はすっかり困り果て、どうしたものかと、ただただ空ばかりを仰いでいた。